相続税100%にしちゃえは人は平等になるんじゃね
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横浜市に住むN子さん(90)はバブルの最盛期に夫を亡くし、10億円もの相続税を支払った。いかにして払うか。その苦労は今でも参考になる。税理士の広田龍介さんが解説する。【毎日新聞経済プレミア】
N子さんは28年前に夫(当時66歳)を突然の病で亡くした。夫はこの地域の地主で多くの土地を所有していたため、相続税では大変な苦労を経験した。
幹線道路が近くにできて、マンションが建ち並び始め、土地の評価額がぐんと上がった時に夫の相続が発生したのだ。
子供は長男(66)と次男(62)の2人。当時、子供たちは仕事が忙しく、父の相続についてはN子さん任せで、あまり相談相手にならなかった。
◇土地を処分しなければ相続税は払えない
相続税の額は10億円を超えた。10億円など見たことも、聞いたこともない金額だ。土地はあってもお金はない、地主の相続の典型的なパターンだ。
かなりの土地を処分しなければ納税はできない。だが、夫の親戚が自宅付近に大勢いたこともN子さんにとって大変な苦労のうちだった。親戚に相談をしても、「土地はご先祖様から引き継いだものだから、できるだけ売ることはしないように」と言われる。口は出してもお金を出すことはない。
なんとかして相続税額を軽くしなければならない。相続税の特例でもある配偶者の税額軽減をフルに受けるため、法定相続分(2分の1)をN子さんは相続する必要があった。
配偶者には相続税の負担がないため、将来に残すべき土地を優先的にN子さんが相続することにし、相続税を負担する子供たちには、納税のために手放すことになってもよい土地を相続させて対応した。