お前ら、死んだらどういうふうに弔って欲しい? ※弔ってくれる人がいるとして
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お前ら、死んだらどういうふうに弔って欲しい? ※弔ってくれる人がいるとして
人間が永遠の命を求めるのは、自然なことなのかもしれない。秦の始皇帝が不老不死を願って水銀を服用したのは
有名な話だ。彼に限らず、誰だって死ぬことは怖いし、死んでしまっては身もふたもない。また、まだ見ぬ未来に
は興味が湧くから是非とも生き長らえて自分の目で見てみたいと願うのは当然の心理である。
文明がもっともっと発展した未来にタイムスリップしたいと誰もが一度は夢想したことがあるのではなかろうか。
数十年後、数百年後、あるいは数千年後の人類は思想とテクノロジーの両面で大きく飛躍を遂げていることだろうし、
そんな未来社会を確認できたら、それはさぞかし興味深く、またエキサイティングであるに違いない。現在、そんな
不死とタイムスリップという全人類共通の二大夢見事を、近い将来現実のものとするかもしれない、あるロシアの企
業が世間の注目を集めている。そしてなんとその企業は、皮肉にも、葬儀屋である。
そのかなり特殊で異様な葬儀を執り行うのは、モスクワを拠点としているKrioRus社だ。同社は遺体をすでに冷凍保
存している。利用者は文明のさらなる発展を遂げた未来の人類が、冷凍保存された自分の死体を解凍し、蘇生させて
くれることに期待している。2003年の創業以来、2017年8月31日時点で、すでに54人の身体と脳みそを冷凍保存した
実績があるという。
さて、未来の蘇生に期待して人体を冷凍保存するという発想は、実はそんなにとっぴなものではない。アメリカでは
早くも1970年代から人体冷凍保存の研究と実行を目的とした非営利団体も存在していたり、2002年に亡くなった元
ボストン・レッドソックスの英雄テッド・ウィリアムズがいつの日か生体に移植されるようにと、その頭部が冷凍保
存されているのは有名な話だ。市井の人もめいめいの事情と信条で冷凍保存され、それがニュースになって世界を駆
け巡ることも珍しくない。読者諸兄も一度や二度は、その手の報道を見聞きしたことがあるのではないだろうか。