【驚き】交尾後に食べられる運命だったオス蜘蛛たちが考案した驚異の生き残り戦略
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【驚き】交尾後に食べられる運命だったオス蜘蛛たちが考案した驚異の生き残り戦略
生きてこそ!
カマキリのオスが交尾後にパクリと食べられてしまうことは有名ですが、
ゴケグモのオスも、ことが終わるとメスに食べられることが多い悲しい
毒グモです。しかし、新しい研究から、ゴケグモのオスたちがメスに
食べられないための生き残り戦略を身につけつつあることがわかりました。
Biology Lettersに発表された新しい調査によると、相当な数のゴケグモの
オスが、彼らを捕食するには若すぎるメスを選んで交尾をしているそうです。
一体どういうことなのかというと、成熟していないメスの体には生殖器は
あるものの、性器自体はまだ体の内側にあり、硬い殻に守られています。
要するに受精できる体になっていないわけですが、オスはその殻を破って
受精嚢と呼ばれる精子の受け口に自分の精子を受け渡します。結果、
幼いメスは成熟したのちに、すでに渡されている精子で子孫を残すことに
なるのです。なんだか嫌な感じはしますが、研究者によるとメスがケガを
負うことはないとのこと。
この戦略を成功させるためには、「メスの体が性器と受精嚢は完成して
いるものの、まだ外には出ていない脱皮の2、3日前の状態」というかなり
精密なタイミングをオスは見計らう必要があるそうです。虎視眈々と
幼いメスの体の状態を見ているということでしょうか…? こ、こわい。
もともと成熟したメスが交尾後にオスを捕食する「性的共食い」を行うのは、
環境に適応して子孫を残すためと言われていますが、今回のゴケグモの
オスの行動はその状況を変えます。
ゴケグモは本来、人間で言えば一夫一妻制なのですが、交尾後に
捕食されないとなると、オスは生き残って他のメスとも交尾ができるように
なるわけです。
人間からすると、食べられないようにするのは生き残り戦略としていいけど、
他のメスにも手を出すのはちょっと自分勝手じゃない?と感じるかも
しれませんが、当然のことながら、この戦略でオスの繁殖成功率が
高まっていることは事実。
これまで食べられてかわいそう!と思っていたオスに対して、
今度はオスひどい!と感じるのも人間としては致し方ない気がしますが、
クモの世界では幼い個体との交尾は珍しいことではないそうです。
実際に研究者たちが幼いメスを採取しに出かけたところ、3分の1の
メスの殻がすでに破られていたと話しています。
この捕食を回避する生き残り戦略は、今はゴケグモという種だけで
見られている行動なものの、他の種に広がっていくことも考えられるそうです。
トロント大学スカボロの研究者たちは、ゴケグモのオスの生き残り戦略が
共食いをする種の進化の軌跡を変えてしまう可能性があると示唆しています。
人間の世界も蜘蛛の世界も男と女がいれば、いろいろあるものです。