高垣楓「二分二十秒の気持ち」
|
|
- 3 : ◆K5gei8GTyk :2016/06/25(土) 22:00:15.13 ID:9gikU85z0
-
楓「ただいま戻りました」その日、高垣楓がドラマの撮影を終えて事務所に帰りついたのは、午後七時を回ろうかというころだった。
あとは仕事の報告と次の自分の予定を確認すれば、彼女のアイドルとしての一日は終わりを告げる。
たしかな空腹を抱えながら、彼女は晩餐をなににしようかと思案していた。
世間的にはどうにも居酒屋で管を巻くイメージが強い彼女ではあったが、意外にも料理は得意とするところのものだった。
しかし今日は撮影の疲れもあってか、なんとなく自炊をする気分にはなれない。
不精な発想から適当に即席麺で済まそうにも、備蓄を切らしたばかりなので買いに行かなければならない。
となれば、誰か暇そうな大人組を捕まえて、居酒屋でゆっくり飲もうなんて考えていたのだが。
事務所の扉を開けた先にいたのは、彼女のプロデューサーだけだった。